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12柱のアース神 : 原典で楽しむ北欧神話

北欧神話


関連項目: オーディン トール バルドル ニョルズ フレイ チュール ブラギ ヘイムダル ヘズ ヴィーザル ヴァーリ ウル フォルセティ ロキ

今日は北欧神話において重要な十二柱の神々についてお話しましょう。

この神々はすべてスノッリのエッダ、ギュルヴィたぶらかしにおいて言及されています。原典はっきりとこういう節があります。

「アース神は十二柱おられるのだ」

エッダ-古代北欧歌謡集 | 谷口幸男訳 p.241 より

オーディン

最高かつ最年長の神であり、すべてのものを支配している。他の神も力はあるけど基本的にはオーディンに仕えている、それくらいに偉い。別名については以前の記事を参照。エピソードは数々あるので、他の機会に書くこともあるでしょう。

トール

オーディンを除いた神々の中で一番偉い。アースのトール(アーサトール)、車のトールとも呼ばれる。ミョルニルという槌を持って巨人を薙ぎ倒す暴れん坊。

バルドル

最もすぐれており、美しく輝いて光を発しており、最も賢く雄弁でやさしい神とされる。なんて神々しい。白い植物はバルドルのまつ毛になぞられらえる。なぜなら白く美しいものといえばバルドルだから・・・とひどいポエミィ感。 でも、無敵だからってみんなで集まって物ぶつけて遊ぶのはどうかしてると思う。そのせいでひどい目にあうし。

ニョルズ

三番目の神で、天のノーアトゥーンに住んでいる。
ん?あれ・・・ニョルズですでに四柱目のはずでは・・・?
ニョルズはアース神ではなく、ヴァナヘイム出身だが人質交換でアース神のもとへやってきた経緯がある。のでニョルズはアース神じゃないんだろうか?でも冒頭で「三番目のアース神はニョルズと呼ばれ・・・」と言われているんだよなあ。

フレイ

ニョルズの息子で、最も有名な神らしい。最も○○が多すぎてそろそろ相対的な位置がわからなくなってきましたね。神話にはよくあることですが。

チュール

最も大胆な神で、強さや勇気の象徴とされている。フェンリスウールヴ(フェンリル)に足枷をはめようとした時に腕を食いちぎられてしまったので、片手しかない。

ブラギ

知恵があり雄弁、詩の神様とされる。

ヘイムダル

偉大で神聖な神、ビフレストという橋の近くで見張りをしている。ギャッラルホルンというラッパを持ち有事の際に知らせる役目を持つ。九人の乙女の子、九人の姉妹の息子とされているが、当然そのままの意味なはずはなくなんらかの比喩。

ヘズ

盲目だが力の強い神。唆されて前述のバルドルを殺害してしまう。

ヴィーザル

無口で、厚い靴を履いている。トールに次いで強い神で、あらゆる戦いで頼りにされる。 このあたりから記述があっさりしはじめる。

ヴァーリ

勇敢な名射手、オーディンとリンドの子。

ウル

トールの継子で、名射手かつスキーヤー。スキーヤーの神が出てくるあたり北国の神話らしい。

フォルセティ

神々の調整者で、グリトニルという館でもめ事をさばいている。前述のバルドルとナンナの子。

ロキ

アース神の中傷者、あらゆる嘘の張本人、神々と人間の恥とか散々なDisをされる神。文は繋がっているものの、「アース神の仲間」という表現が微妙。これはアース神の内側なのか、外側なのか・・・。
性質がひねくれていて行動はひどく気まぐれ、悪知恵は一流と稀代のトリックスターらしい評価。


さて、一通り説明がおわりました。

問題です。ここまで何柱の神様が出てきたでしょうか?

・・・

はい、十三柱+1(ロキ)ですね。

十二柱って自信満々に言ってたのはどこにいったんでしょう?これが分散した文献の話ならわかります。でも違うんです。この話、スノッリが一人で書いたはずの文献で、しかも連続した話の中なんです。

どういうことなの・・・。

まず、ロキは除外してもいいとしましょう。それでもまだ一柱余ってる。

1. バルドルを除外する

文中の表記に従うなら、これが妥当。ニョルズが三番目だと書いている以上、バルドルはなかったものとする?でもそれにしては重要なんですよねバルドルの存在は・・・。

2. ニョルズを除外する

ニョルズはもともとヴァンル神なので、アース神のカウントにはやっぱり入れないことにした? 文中でもアース神である、という表現とアース神じゃない、という表現が入り混じっているので解釈によってはこの説はありえる。

3. 十二柱って言いたかっただけ、もしくはただのミス

この可能性も捨てきれない・・・。実は十三柱いたけどうっかり十二と書いてしまったとか。


スノッリは数百年前に亡くなっているし、真実は闇の中ですね。

もしかしたら、訳の問題で古代アイスランド語ではまた違うのかもしれません。 新しい情報が入ればまたレポートしますが、まずは「あ、神話って原典だとこんな無茶苦茶でいいかげんな状態なんだ、それでいいんだ」という点を知ってください。

そう思えば、気楽に楽しめると思います。自分なりの妄想解釈を付け加えるのも素晴らしいですね!

※この記事にある記述は全て「ギュルヴィたぶらかし」を参考にしています。他の詩ではまた違った物語が繰り広げられることになります


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