up

水銀(Argentvive) = 水星(Mercury) : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(10)

錬金術


関連項目: 錬金術師ゲーベル 水銀 水星

三つめは水銀です。硫黄と並んで重要な物質になります。イベリア半島(現代のスペイン)のシウダ・レアルなどに大きな水銀鉱山があり、紀元前から発掘されていました。アラビアで錬金術が盛んだった時期、イベリア半島はアル=アンダルスと呼ばれアラビアの支配下にあったため当然その鉱山の水銀も利用できたでしょう。 その性質を目の当たりにした人々が驚き、水銀を特別なものと考えたことは不思議ではないでしょう。

【関連記事】
1:アラビアの錬金術事情
2:錬金術の思想とプネウマ
3:Magistery(自然変成力)
4:元素の分離とTincture
5:錬金術師Geber
6:金属の自然原理
7:金属と惑星
8:硫黄(Sulphur)
9:砒素(Arsenick)


Jabir ibn Hayyan (8c) / Pseudo-Geber(13c)
from Of the Sum of Perfection : The First Book
The Third Part of this First Book: Of the Natural Principles, and their Effect.
Chapter 6 : Of Argentvive, or Mercury.

この章に書かれていること

  • (当時から見た)古代人はArgentvive、水銀をMercuryと呼んでいた
  • 大地の奥にある粘り気のある水である
  • それは流れ、くっつかない
  • Saturn(鉛)、Jupiter(錫)、Sol(金)と容易に融合する
  • Luna(月)の融合はそれより難しい
  • Venus(銅との融合は更に難しい)
  • Mars(鉄)と融合することはない
  • だが術の熟達があればその限りではない
  • 水銀によって金属は輝く
  • Elixirそのものではないが、術の助けになるかもしれない

おおよそこのような内容になっています。実際、水銀は鉄と融合しないので何らかの実践により得られた知見が記述されているのだと思います。硫黄もそうだったように、比喩的な表現が多くてわかりにくいものの机上の理論ではなく実践に基づく技術であることがわかります。


次でアラビア編は最後、金についての話になります。


このエントリーをはてなブックマークに追加

ご覧頂きありがとうございます!よろしければこの記事の紹介、拡散にご協力ください!

タグ[錬金術]の記事

ニコラ・フラメルの著書にける硫黄と水銀の扱い : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(6) 2013/07/10 23:22 枇々木聖
錬金術師ニコラ・フラメル : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(5) 2013/07/07 23:53 枇々木聖
13世紀の金属、鉱物観 後篇 : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(4) 2013/06/29 18:28 枇々木聖
13世紀の金属、鉱物観 前篇 : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(3) 2013/06/26 23:25 枇々木聖
ロジャー・ベーコンと「Radix Mundi - 世界の根源」 : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(2) 2013/06/23 11:53 枇々木聖
中世ヨーロッパへの伝播 : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート 中世ヨーロッパ編(1) 2013/06/16 17:09 枇々木聖
太陽(Sol) = 金(Gold) : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(11) 2013/06/15 19:45 枇々木聖
水銀(Argentvive) = 水星(Mercury) : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(10) 2013/06/13 17:41 枇々木聖
砒素(Arsenick) : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(9) 2013/06/12 19:30 枇々木聖
硫黄(Sulphur) : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(8) 2013/06/11 15:18 枇々木聖