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アラビアの錬金術事情 : 原典で辿る錬金術の歴史 講義レポート アラビア編(1)

錬金術


関連項目: ハーリド・イブン・ヤズィード 錬金術師ゲーベル

4月から、錬金術をより理解するためにセミナーを受講しています。恵比寿にある占い学校アカデメイアで開催されているのですが、聞いているだけでは理解が不十分。やはりアウトプットを伴うべきと考えました。

まず今日は初回4月19日の講義前半をまとめていきます。

アカデメイアのサイトと講義概要。既にページが無いのでこちらに記載
http://www.akademeia.co.jp/


講師/田口 清一(法政大学講師/西洋思想史研究者) あらゆる神秘学の中でも、錬金術は最も複雑な象徴体系を有するものの一つなので、我々現代人にとっては理解困難なものかと思われます。ですが、錬金術の基本的教義や思想を知ることは、西洋神秘学の理解にとって不可欠だと言えるかもしれません。錬金術は人間の深層意識に根差すものである以上、その起源は極めて古いかもしれませんが、西洋に関する限り、歴史的に実証しうるのは古代末期(紀元後3世紀頃)からのものです。本講座は、西洋(アラビアを含む)における錬金術の歴史を、各時代を代表する著作の一部を実際に読みながら、広く哲学、科学、宗教などとの関連の中で見ていこうと思います。従来、科学史の立場から否定的値しか与えられなかった錬金術が、実は西洋精神史の深層において重要な役割を演じてきたことがお分かり頂けると思います。今期は第一部として、総論と錬金術が誕生した古代を扱います。
予備知識は不要ですので、初めての方もどうぞお気軽に御参加下さい。

講座紹介の時点でかなりディープな雰囲気を発していますが、むしろそれが楽しみではあります。この講座は二期目で、以前に古代編があったのですがスケジュールの都合がつかず受講できず。今回は都合がつけられそうだったので思い切って参加することにしました。しかし、申し込んだ時点では人数の問題が開講が決まっていないという状態。

実際、初回行くと受講者は私も含んで4名しかいませんでした。しかもうち1名はスタッフの方という状態。占い学校においてすらこの注目度というところに錬金術ネタの難しさが伺えます。

さて、前置きはここまでにして実際の講義内容に入りましょう。

二期目の範囲はアラビア(7世紀~)と中世ヨーロッパ(13世紀~)ということで、その時期における錬金術の状況説明から入りました。一期目に参加していないので古代編のコンテクストがわからず、理解に時間がかかるのが課題。

【古代から中世における錬金術の周辺事情】

原始的な錬金術が発生したのは古代アレクサンドリア。当時の最先端都市であるアレキサンドリアは哲学、学問その他の文化の中心地であり錬金術の思想もそこで育まれました。

その後、錬金術は大きく二つの方向に分かれることになります。

一つは、アレクサンドリアを治めていたローマ帝国からビザンツ(東ローマ)へ伝えられたライン。

もう一つは、7世紀にアレクサンドリアを征服したアラビアに伝えられたライン。

ビザンツ帝国に伝わった錬金術はその後あまり発展せず、アラビアで発展したものが後世にヨーロッパへ再度持ち込まれることになります。

そしてアラビアにおける錬金術の発展に大きく寄与した二人の錬金術師がおり、講座の前半アラビア編では、この2名の著作を読んでいくことになります。

Khalid ibn Yazid(635-704)

読みはハーリド・イブン・ヤズィードに近い音。ウマイヤ朝の王子で、アラビアにおいて錬金術の研究をはじめたきっかけとなった。具体的には、ギリシア語もしくはコプト語で書かれていた文献をアラビア語に翻訳する事業を行った。

彼はイスラム教の中でも神秘主義的な教団に属しており、比較的非イスラム的な研究を行うことができる立場にいた。

Jabir ibn Hayyan(8世紀) / Pseudo-Geber(13世紀)

読みはジャービル・イブン・ハイヤーンに近い音。スーフィズム系の教団に属しており錬金術の手法に関する著書を残した。後世、西ヨーロッパでGeberと呼ばれることになるが、その際に書かれた書の多くが偽書である。

古代から続く錬金術の基本思想

錬金術の著作を読む前に理解しておくべき、重要な基本思想があります。これは現代の言葉の感覚と違っているため、頭に入れておかないと読む際にうまく文意を汲み取ることができません。この点について次回の記事で説明します。その後、二名の著作を読むところへ入っていきます。


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